遺産分割協議の注意点
遺産分割協議を行う場合、注意しなければならない点がいくつかあります。
ここでは、「遺産分割協議の注意点」についてご説明します。
目次
- 1 遺産分割協議を行う際の主な注意点
- 1.1 遺産分割の期限 ※令和5年4月1日施行
- 1.2 必ず相続人全員で行う
- 1.3 全ての遺産をできる限り洗い出しておく
- 1.4 「誰が」「どの財産を」「どれだけ取得するか」を明確にする
- 1.5 後日発見された遺産を、どのように分配するか決めておく
- 1.6 相続人が未成年(18歳未満)の場合は、法定代理人が必要
- 1.7 相続人が未成年かつ法定代理人も相続人の場合は、特別代理人の選任申立を行う
- 1.8 相続人に胎児がいる場合は、胎児が生まれてから作成する
- 1.9 不動産は、所在地・面積など登記簿通り正確に把握する
- 1.10 預貯金などは、銀行名・支店名・預金の種類・口座番号など細かく把握する
- 1.11 遺産分割前に第三者へ相続分を譲渡した場合、譲渡された者も参加し遺産分割協議を行う
遺産分割協議を行う際の主な注意点
一口に「遺産分割協議」と言っても、どこから始めればよいのかなど分からないことが多いと思います。
ここでは遺産分割協議を行うにあたり、基本的なポイントを具体的に解説していきます。
ただ遺産分割協議においては、相続人間の関係性など様々な要因が絡み合ってきます。
それぞれの状況に併せて柔軟に対応し、場合によっては専門家への相談についても心に留めておくことをおすすめします。
遺産分割の期限 ※令和5年4月1日施行
民法の法改正により、令和5年(2023年)4月1日から遺産分割のルールが新しくなります。
これまでは遺産分割に特に期限はありませんでしたが、相続の開始から10年を経過した遺産分割は特別受益や寄与分を考慮することなく分割することになります。
つまり、遺言による「指定相続」か「法定相続分」による画一的な相続なり、協議分割など具体的相続分による分割は原則不可となります。
(ただし、相続人が10年経過前に家庭裁判所に遺産分割請求をしたり、相続人全員が合意する場合にはこの限りではない)
なおこのルールは施行以前の相続に関しても適用され、施行時点で相続開始から5年を超えている相続や10年以上と期限を超えている相続については令和10年(2028年)3月31日までの猶予期間が認められています。
その他詳細については、法務省のホームページなどをご覧ください。
必ず相続人全員で行う
「必ず相続人全員で行う」とは、一堂に会して話し合うことを指すわけではありません。
手段は問わず全員が合意している内容について、遺産分割協議書を作成し郵送などの持ち回りで署名・捺印する形をとることも可能です。
葬儀後、49日に相続人が集まるようであれば、その時に署名・捺印を行うこともよくあります。
全ての遺産をできる限り洗い出しておく
遺産分割協議後にあらたな遺産が発覚すると、再度遺産分割協議が必要となったり揉める原因になりかねません。
被相続人の通帳や郵便物など様々な書類を基に、できる限り遺産を把握しておくことが大切です。
「誰が」「どの財産を」「どれだけ取得するか」を明確にする
遺産分割協議において、「誰が」「どの財産を」「どれだけ取得するか」が要になります。
後々の争いを避けるためにも、相続人間でよく話し合い明確に決めることが重要です。
後日発見された遺産を、どのように分配するか決めておく
できる限り遺産を洗い出したつもりでも、後日遺産(借金など負債含む)が発覚する可能性はゼロではありません。
その際、発覚した遺産の分配を決め遺産分割協議書に記載しておけば、改めて協議を行わなくても構いません。
ただし、どのような遺産が出てくるか分からないこともあり、また相続人間で揉める火種になりそうな場合は注意が必要です。
相続人が未成年(18歳未満)の場合は、法定代理人が必要
未成年でも相続人になることはできますが、法律行為を行うことができないため代理人を立てる必要があります。
基本的には法定代理人となる親権者が対応しますが、相続人が間もなく18歳となるような場合は成人を待ってから遺産分割協議を行うことも検討に入れてもよいかもしれません。
ただし相続税がかかりそうな場合には、申告期限との兼ね合わせも検討する必要があります。
なお、代理人は未成年一人につき一人必要で、親権者一人で未成年の相続人二人の法定代理人となることはできません。
相続人が未成年かつ法定代理人も相続人の場合は、特別代理人の選任申立を行う
基本的に、相続人が未成年の場合は親権者が法定代理人となりますが、親権者も同じ相続人の場合は法定代理人となることができません。
なぜなら親権者も子も相続人となる場合、お互いの利害関係が衝突する(利益相反)と考えられるためです。
このような場合、家庭裁判所に特別代理人の選任申立を行う必要があります。
相続人に胎児がいる場合は、胎児が生まれてから作成する
被相続人の死亡時に胎児であった場合も、民法第886条第1項により「相続については、既に生まれたものとみなす」と規定されています。
ただし、死産の場合には相続権が発生しないため、遺産分割協議は無事出生した後に代理人を立てて行う必要があります。
不動産は、所在地・面積など登記簿通り正確に把握する
不動産を個別に指定して相続をする場合、対象の不動産に間違いや疑念が生じないように正確に把握する必要があります。
相続人間で同意が取れており、不動産は特定の相続人一人が相続をするような場合「すべての不動産」とすることも可能です。
どちらの方法にしても遺産分割協議書に記載することで、相続登記をスムーズに行うことができます。
預貯金などは、銀行名・支店名・預金の種類・口座番号など細かく把握する
相続手続きにおいて、口座を持っている銀行が分かれば口座の詳細を調べてもらうことも可能です。
被相続人名義の預貯金などについては、手元にある通帳や銀行で調べてもらい、銀行名・支店名・預金の種類・口座番号などを把握するようにしましょう。
遺産分割前に第三者へ相続分を譲渡した場合、譲渡された者も参加し遺産分割協議を行う
遺産を分割する前に自分の相続分を第三者へ譲渡した場合、法律上の地位が譲渡されたということで第三者の譲受人が遺産分割協議に参加することになります。
ただし、相続分を譲渡したと言っても、相続放棄とは違い負債を負わないと債権者に主張することはできません。
また、相続分を譲渡した相続人以外の共同相続人は、1か月以内であれば価額および費用を償還して取り戻すことができる。
以上のように遺産分割協を行う際には、様々な注意点があります。
相続人が全員揃っていなかったり、方法を間違えるとやり直しが必要になることも。
不安な方は、当センターの無料相談などもぜひご利用ください。
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