相続放棄に期間はある?過ぎたらどうすればいい?
目次
相続放棄に期間はある?過ぎたらどうすればいい?
1. 相続放棄の期間は3ヶ月!期限を知って賢く対処しよう
1-1. 相続開始を知った日から3ヶ月が期限です
- 被相続人の配偶者や子の場合:通常は死亡日から3ヶ月
- 遠方に住む相続人の場合:死亡の連絡を受けた日から3ヶ月
- 先順位の相続人全員が相続放棄した場合:自分に相続権が回ってきたことを知った日から3ヶ月
- 相続債務の存在を後から知った場合:債務の存在を知った日から3ヶ月(特別な事情がある場合)
1-2. 期限の計算方法と注意点
| 相続開始を知った日 | 起算日 | 期限(3ヶ月後) |
|---|---|---|
| 1月1日 | 1月2日 | 4月1日 |
| 2月28日 | 3月1日 | 5月28日 |
| 11月15日 | 11月16日 | 翌年2月15日 |
- 期限は「3ヶ月以内」なので、3ヶ月目の同日の前日までに申述する必要があります
- 郵送の場合、家庭裁判所に到着した日が申述日となるため、余裕を持って送付しましょう
- 期限当日の消印有効ではありません。必ず期限内に裁判所に到着する必要があります
- 複数の相続人がいる場合、各相続人ごとに独立して3ヶ月の期間が進行します
2. 期限を過ぎてしまったら?諦める前にできること
2-1. 期限後でも認められるケース:知らなかった理由を説明する
- 被相続人と長年疎遠で、財産や負債の存在を全く知らなかった
- 被相続人が生前「財産も借金もない」と明言していた
- 債権者からの請求書が届いて初めて借金の存在を知った
- 被相続人の死亡から数年後に突然、連帯保証債務の請求を受けた
- 遺品整理中に偶然、多額の借用書を発見した
2-2. 期限後でも認められるケース:特別な事情を証明する
- 被相続人の死亡直後に相続人自身が重病で入院しており、手続きが物理的に不可能だった
- 海外に長期滞在しており、相続開始の事実を知ることができなかった
- 相続人が未成年者で、法定代理人による適切な対応がなされなかった
- 詐欺や強迫により、相続放棄の機会を奪われていた
2-3. 期限切れで相続放棄ができない場合の対処法
- 限定承認の検討:相続財産の範囲内でのみ債務を弁済する方法。ただし、こちらも3ヶ月の期限があり、相続人全員の同意が必要です
- 債務整理の検討:相続した債務について、任意整理、個人再生、自己破産などの債務整理手続きを検討する
- 時効の援用:相続債務が5年以上(商事債務の場合)経過している場合、時効を援用できる可能性があります
- 債権者との交渉:支払い能力に応じた分割払いや減額交渉を行う
3. 相続放棄の期間延長(伸長)を申請する方法
3-1. 申請に必要な書類と手続き
- 相続の承認又は放棄の期間伸長申立書
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 申立人(相続人)の戸籍謄本
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
- 伸長が必要な理由を説明する書面(財産調査に時間がかかる理由など)
- 収入印紙:800円(申立人1人あたり)
- 郵便切手:家庭裁判所により異なる(数百円程度)
3-2. 申請できるケースとできないケース
- 相続財産の範囲が不明確で、調査に時間を要する
- 被相続人の借金の有無や金額を確認する必要がある
- 遠方の不動産など、評価に時間がかかる財産がある
- 複数の金融機関や債権者への照会が必要
- 相続人が多数いて、意思統一に時間がかかる
- 被相続人の事業内容が複雑で、債務の把握に時間がかかる
- 単に「考える時間がほしい」という理由だけの場合
- 既に3ヶ月の期限を過ぎてしまっている場合
- 相続財産の調査を全く行っていない場合
- 正当な理由なく判断を先延ばしにしている場合
4. 相続放棄前にやってはいけないこと
4-1. 遺産の処分や隠蔽は絶対に避けましょう
- 遺産の処分:不動産の売却、預金の引き出しと使用、株式の売却など
- 遺産の消費:被相続人の預金を自分のために使う、遺品を処分して換金するなど
- 債務の支払い:被相続人の借金を相続財産から返済する
- 形見分け以上の遺産の取得:高額な貴金属や骨董品などを持ち帰る
- 不動産の名義変更:相続登記を行う
- 遺産分割協議への参加:遺産分割協議書に署名・押印する
- 葬儀費用を被相続人の預金から支払う(社会通念上相当な範囲なら許容される場合もある)
- 被相続人の賃貸住宅の家賃を支払う(保存行為として許容される場合もある)
- 被相続人宛の請求書への対応
- 相続財産の現状維持のための行為(建物の修理、草刈りなど)
- 腐りやすい食品などの処分
- 形見分けの範囲での遺品の受取(経済的価値が小さいもの)
- 被相続人の債務を自分の財産から支払う(相続財産からではない)
- 遺体の引き取りや葬儀の実施
5. 相続放棄に関するよくある質問
Q1. 3ヶ月の期限は絶対ですか?延長できませんか?
A. 3ヶ月以内に判断が難しい場合は、期限内に家庭裁判所に申し立てることで期間を延長できます。通常1〜3ヶ月程度の延長が認められます。ただし、既に期限を過ぎてしまった場合は、原則として延長申請はできません。
Q2. 被相続人の死亡を知らなかった場合、期限はどうなりますか?
A. 「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月なので、実際に死亡を知った日から起算されます。ただし、知らなかったことについて合理的な理由が必要です。
Q3. 相続人が複数いる場合、全員が同じ期限ですか?
A. いいえ。各相続人ごとに独立して期限が進行します。例えば、一人の相続人が先に相続開始を知った場合、その人だけ先に期限が到来します。
Q4. 期限を過ぎてから借金の存在を知った場合はどうなりますか?
A. 相続財産の存在を全く知らず、知らなかったことに相当な理由がある場合は、借金の存在を知った時から3ヶ月以内であれば相続放棄が認められる可能性があります。ただし、その事情を詳しく説明する必要があります。
Q5. 相続放棄の申述中に3ヶ月の期限が過ぎてしまったらどうなりますか?
A. 3ヶ月の期限内に家庭裁判所に申述書を提出(郵送の場合は到着)していれば、審理や受理通知が期限後になっても問題ありません。重要なのは期限内に申述することです。
Q6. 一度期限が過ぎると、絶対に相続放棄はできませんか?
A. 絶対ではありません。相続財産の存在を知らなかったことに相当な理由がある場合や、重病で手続きが不可能だったなどの特別な事情がある場合は、期限後でも認められる可能性があります。諦めずに専門家に相談してください。
Q7. 相続放棄の期限と相続税の申告期限は同じですか?
A. 違います。相続放棄は「相続開始を知った時から3ヶ月」ですが、相続税の申告期限は「相続開始を知った日の翌日から10ヶ月」です。混同しないよう注意が必要です。
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