【2026年4月開始】亡くなった親の土地がどこにあるか分からない…を解決する「所有不動産記録証明制度」完全ガイド
こんにちは。相続遺言相談センター神戸です。
当事務所には日々、多くの相続に関するご相談が寄せられますが、その中でも特に相続人様を悩ませる、ある「共通のトラブル」があります。それは、遺産分割協議や税金の計算以前の、もっと根本的な問題です。
「亡くなった父が、どこにどれだけの不動産を持っていたのか、誰も正確に把握していない」
タンスの奥から見慣れない固定資産税の通知書が出てきたり、遠い親戚から「あの山はお父さんの名義のはずだ」と言われたり……。これまでは、こうした「隠れた不動産」を探し出すのは、雲をつかむような大変な作業でした。
しかし、2026年(令和8年)4月1日より、この問題を劇的に解決する新制度「所有不動産記録証明制度」がいよいよスタートします。
本コラムでは、相続手続きの現場にいる現役司法書士として、この新制度がなぜ画期的なのか、どのように活用すべきか、そして注意点について、徹底解説します。
目次
第1章:なぜ「不動産探し」がこれまで困難だったのか?
新制度のすごさを理解いただくために、まずは「これまで(2026年3月以前)」がいかに大変だったかをお話ししましょう。
1. 「名寄帳(なよせちょう)」の限界
これまで、故人の不動産を探す代表的な方法は、市区町村役場で取得できる「名寄帳(なよせちょう)」でした。これは、その役所が管轄するエリア内で、特定の人が持っている不動産を一覧にしたものです。
しかし、ここには致命的な弱点がありました。それは「請求した市区町村にある不動産しか分からない」ということです。
例えば、亡くなったお父様がA市に住んでいたとします。相続人の皆様はA市の役所で名寄帳を取り、「自宅の土地建物」を確認して安心します。しかし、実はお父様が、趣味のためにB町の山林を買っていたり、投資のためにC区のワンルームマンションを持っていたとしたら? A市の名寄帳には、B町やC区の不動産は一切載っていません。つまり、「どこに持っているか」という「あたり」をつけて、その全ての役所に問い合わせない限り、不動産は見つからなかったのです。
2. 「権利証」がない場合の絶望感
「昔の権利証(登記済証)を探せばいい」と思われるかもしれません。しかし、度重なる引越しや、震災、あるいは認知症による紛失などで、権利証が手元にないケースは非常に多いのです。 権利証がなく、本人が亡くなっていて、固定資産税の通知書も届いていない(※山林や原野など、評価額が低く非課税になっている土地は通知が来ないことが多いです)。こうなると、私たち専門家であっても、その不動産を発見することは極めて困難でした。
3. 相続登記義務化によるプレッシャー
さらに皆様を追い詰めるのが、2024年(令和6年)4月から始まった「相続登記の義務化」です。 「不動産があることを知った日から3年以内」に登記をしないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。「あるかどうかも分からない不動産」を探し出し、登記しなければならない。このプレッシャーは計り知れません。
第2章:救世主登場!「所有不動産記録証明制度」とは?
こうした「所有者不明土地問題」や「相続登記漏れ」を解消するために国が作った切り札が、この「所有不動産記録証明制度」です。
制度の概要
一言で言えば、「法務局(国)が、日本全国の不動産データを一括検索し、特定の人が所有している不動産の一覧表を発行してくれる制度」です。
これまでの「市区町村単位(点)」での調査から、「日本全国(面)」での調査へと、パラダイムシフトが起きたと言っても過言ではありません。
具体的に何ができるのか?
相続人である皆様は、法務局に対して「亡くなった父(被相続人)が所有権の名義人となっている不動産を全部リストアップしてほしい」と請求できます。 すると、法務局は登記簿のデータを照会し、以下のような情報が記載された証明書を発行してくれます。
- 不動産の所在(〇県〇市〇町…)
- 地番・家屋番号
- 不動産の種類(宅地、山林、居宅など)
- 所有権の持分
これさえあれば、北海道の原野だろうが、沖縄のリゾート地だろうが、登記されている限り「一覧」として手元に届くのです。
第3章:メリットだけではない? 制度のポイントと注意点
「これで全て解決だ!」と思われたかもしれませんが、実務家としてはいくつか「ここは注意が必要」というポイントもお伝えしなければなりません。
1. 「所有者本人」か「相続人」しか請求できない
この制度は、誰の財産でも勝手に調べられるわけではありません。プライバシー保護の観点から、請求できるのは原則として以下の人に限られます。
- 所有者本人(生前対策として自分の財産を整理する場合など)
- 相続人(所有者が亡くなった場合)
- 代理人(司法書士や弁護士など)
つまり、「隣の家の持ち主を調べたい」といった目的では使えません。
2. プライバシーへの配慮(事項の省略)
ここが少しややこしいのですが、発行される証明書には、プライバシー保護のための処理が施されることがあります。 例えば、亡くなったお父様が誰かと「共有」で不動産を持っていた場合、他の共有者の住所氏名などの情報はマスキング(非表示)された状態で発行される可能性があります。あくまで「お父様の持ち物」を確認するための書類だからです。
3. 「登記記録上の住所氏名」と一致する必要がある
これは私たち司法書士が最も懸念している点です。 検索システムは、基本的に「氏名」と「住所」でデータを紐付けます。もし、亡くなったお父様が何度も引越しをしていて、登記簿上の住所変更手続き(住所変更登記)をサボっていた場合、検索にヒットしない可能性があります。
※ただし、これについては2026年4月までに法務局側でもデータの整備(住基ネットとの連携等)が進められていますが、古い登記や不完全なデータの場合、漏れが生じるリスクはゼロではありません。「証明書に載っていない=絶対に不動産がない」とは言い切れない点には注意が必要です。
4. 手数料がかかる
無料ではありません。法務局に支払う手数料が必要です。まだ詳細な金額運用は開始直前まで調整される可能性がありますが、従来の登記事項証明書取得などと同程度、あるいは検索の手間賃として若干の手数料設定がなされる見込みです。(※執筆時注:実際の手数料は政令で定められますが、安価に設定される予定です)。
第4章:どのようなケースでこの制度を使うべきか?
当事務所では、以下のようなケースのお客様には、必ずこの制度の利用を推奨します。
ケース①:親が不動産投資や原野商法に関わっていた可能性がある
バブル期などに「値上がりする」と言われて地方の山林や別荘地を購入しているケースです。家族には内緒にしていることも多く、固定資産税もかからない(課税点未満)ため、発覚が遅れがちです。この制度を使えば一発で判明します。
ケース②:親と長年疎遠だった
親の生活実態が分からず、自宅以外に何を持っているか全く見当がつかない場合。遺品整理で権利証が見つからなくても、この証明書を取得すれば遺産分割協議をスムーズに進められます。
ケース③:相続人が多数・複雑な場合
兄弟姉妹やおじ・おばが相続人になるようなケースでは、誰か一人が財産を隠そうとするなどの疑心暗鬼が生まれることがあります。公的な「証明書」として全財産リストを提示することで、公平で透明性のある遺産分割が可能になります。
第5章:実際の取得手続きと、司法書士に依頼するメリット
手続きの流れ
- 必要書類の準備
- 被相続人(亡くなった方)の死亡が分かる戸籍謄本
- 請求する人が相続人であることが分かる戸籍謄本
- 請求する人の本人確認書類(運転免許証など)
- 法務局へ請求
- 最寄りの法務局の窓口、または郵送で請求可能です。
- オンラインでの請求も可能になる見込みですが、添付書類の送信など一定のITリテラシーが必要です。
- 証明書の受領
なぜ司法書士に依頼すべきなのか?
「自分で法務局に行けばいいのでは?」と思われるかもしれません。もちろん、ご自身で行うことも可能です。しかし、以下の理由から、相続手続き全体を司法書士に任せる中で、この証明書の取得も依頼することを強くお勧めします。
理由1:戸籍集めの手間が省ける
証明書の請求には、亡くなった方と請求者の関係を証明する「戸籍謄本一式」が必要です。相続手続きでは、これ以外にも銀行解約用などで膨大な戸籍を集める必要があります。司法書士に依頼すれば、職権で必要な戸籍を全て収集し、証明書請求も代行します。
理由2:住所の変遷を証明する難しさ
先ほど述べた通り、登記簿上の住所と死亡時の住所が違う場合、そのつながり(沿革)を証明する「戸籍の附票」や「住民票の除票」が必要です。これらが保存期間経過で廃棄されている場合、「不在籍不在住証明書」や「権利証の原本提示」など、イレギュラーな対応が必要になります。プロであれば、こうした壁にぶつかってもスムーズに対応可能です。
理由3:出てきた不動産の「その後」が本番
ここが最も重要です。「不動産が見つかりました、よかったですね」で終わりではありません。 見つかった不動産は、速やかに以下の手続きをする必要があります。
- 評価額の調査(相続税がかかるかどうかの判定)
- 遺産分割協議書の作成(誰がどの不動産をもらうか決める)
- 相続登記申請(名義変更)
特に、見つかった不動産が「価値のない山林」だった場合、「相続土地国庫帰属制度」を利用して国に返すのか、あるいは相続放棄をするのか、といった高度な法的判断が必要になります。 単にリストを出すだけでなく、「そのリストを見て、次にどう動くのが一番損をしないか」をアドバイスできるのが、私たち司法書士です。
おわりに:不安な相続を「安心」に変えるために
2026年4月から始まる「所有不動産記録証明制度」は、相続人にとって強力な武器となります。これまでのように、暗闇の中で手探りで財産を探す必要はなくなります。
しかし、「道具」は「使い方」が重要です。
見つかった不動産の中に、負の遺産が含まれていたらどうしますか? 発見された不動産の権利関係が複雑だったらどう処理しますか?
当事務所では、単なる手続きの代行だけでなく、お客様の家族構成や資産状況に合わせた「最適な相続の設計図」を描くお手伝いをしています。
「親が亡くなったけれど、不動産がどこにあるか不安だ」 「新しい制度を使って、財産の漏れがないよう徹底的に調べたい」 「見つかった土地の処分に困っている」
そのようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、当事務所の無料相談をご利用ください。 新しい制度をフル活用し、あなたとご家族の「円満な相続」と「将来の安心」を、私たちが全力でサポートいたします。
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